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「煙突の上にハイヒール」 [感想]

・煙突の上にハイヒール/小川一水 光文社文庫


煙突の上にハイヒール (光文社文庫)

煙突の上にハイヒール (光文社文庫)

  • 作者: 小川 一水
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2012/06/12
  • メディア: 文庫



またしても、SF。
BLの新刊本がないので[あせあせ(飛び散る汗)]

短編集。
表題作の他、4編収録。

表題作は、男にだまされたOLが、1人用ヘリコプターを買う話。
ヘリコプターというのは、ちょっと違うかも。
背中に背負って飛ぶから。
機体を買い講習会に参加しライセンスを取り、乗ることができる。
本体価格、142万8千円。
意外と安い。
軽四のわりといいのが買えるくらいのお値段。
これで空を飛べるんだ。
空を飛ぶのって、どんなに気持ちがいいんだろう。
この主人公のいいところは、目立つのが嫌いということ。
ライセンス取得女性第一号だったんだけれど、写真(ポスターのモデル)を拒否し、目立たないように飛び、人にもひけらかさない。
側で流されそうになっている人を助けた時だって、名乗らずさっさとその場から去った。
友人がメルアドだけ伝えて、それが縁で結婚。
人生どう転がるかわかんないよね[黒ハート]

2つめ話は、猫にカメラを付けてどういう行動をしているか(太ったため)調べる話。
この話も、さわやかな話。
恋に発展しそう[黒ハート]

3つめは、恋人に振られた女性とご主人を亡くした介護ロボットの、イブの話。
このロボットのタスクくん、いいなぁ。
ご主人のお婆さんが、いい人だったんだね。
タスクにいろいろと教えてあげて、こんな思いやりのあるいい子になったんだね。
タスクくん、うちにも一台欲しいな。
助けたいのに助けられなかった。
そして一方は、殺そうとしたのに助かってしまった。
切なくて、泣きそう。

4つめは、ロボットを開発する会社に勤めている人の話。
これ、ちょっとBLなんだよね。
愛されない自分の身代わりに、彼の好みのロボットを作った。
それが発端だったなんてね。
ラスト、ロボットと人間が結婚できる法律が施行される。
そんな世の中になるんだろうか……。

5つめは、新型インフルエンザの流行で人口が減ってしまった後の話。
この話は重い。
女子高生が抱えている、自分が日本での一番最初の感染者だということ。
自分のせいで何千万人もの人が亡くなってしまった。
でも、自分は死なずに生きている。
家族はみんな死んだのに。
そして、彼女の保護者になった彼もまた、医者だったのに逃げ出してしまった。
その苦しみを抱えている。
でも、そんな二人だからこそ、これからもちゃんと生きて欲しい。
未来がある終わり方で、よかった。

楽しい話から始まり、徐々に、最後は重い話になっていった、この短編集。
普通のSFは難しいけれど、これらの話は近い将来起こりうることかもしれない身近な話ばかりだった。

★★★☆

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