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「あいのかたち マグナ・キヴィタス」 [感想]

・あいのかたち マグナ・キヴィタス/辻村七子 オレンジ文庫


あいのかたち マグナ・キヴィタス (集英社オレンジ文庫)

あいのかたち マグナ・キヴィタス (集英社オレンジ文庫)

  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2021/05/27
  • メディア: Kindle版



SF短編集。
短編集といっても、すべてがマグナ・キヴィタスが舞台で、すべての話が繋がっているオムニバス形式。

人間、アンドロイド、そして、人造人間が共存している。
人造人間というのは、AHと呼ばれている、クローン。
優れた人物のクローンで、その人物が死んだら世の中に出る。
寿命は、短い。
アンドロイドは、人を殺せないし自殺もできない。
そういう、設定。

人造人間は同じ個体が何人もいるが、最終的には一番優れた個体が生かされる。
直接殺すわけではないが、もともと寿命が短いため、薬を与えなければ数日で亡くなる。
そんな子たち(性別はない)でも、愛は芽生える。

アンドロイドと暮らしている70代のオレンサル氏の家族は、アンドロイドたちにフレンドリーだ。
最初はそうでもなかったが、孫が中古のアンドロイドを買ってきて、彼女と過ごしているうちに家族の一員になっていった。
家族愛だね。

最後の話に出てくるエルとワンは、シリーズ1作目の主人公。
この二人(一人はアンドロイドでもう一人は人造人間)も、愛情が芽生えている。
そのシーンが、初々しい。

AHやアンドロイドの心はどこにあるんだろう。
そもそも、心はあるのか。
掃除アンドロイドが間接的に主人を殺してしまった時、彼女は耐えられなかった。
AHのファームで調教されている個体たちは、海へ行くという単語を使う。
それは死を意味するものだが、そもそもAHは人間ではない。
じゃ、なに?

冒険などのハラハラドキドキの話ではないが、珠玉のSF短編集だった。

★★★☆

シリーズはこちら↓

マグナ・キヴィタス 人形博士と機械少年 (集英社オレンジ文庫)

マグナ・キヴィタス 人形博士と機械少年 (集英社オレンジ文庫)

  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2018/04/20
  • メディア: Kindle版



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